身も心も疲れていて、それなのに眠れない時、手に取るのはやはり子どもの本だ。
たぶん40年ぶりに読んだ岩波少年文庫「銀のスケート」(メアリー・メイプス ドッジ作 石井桃子訳)。ハンスとグレーテル兄妹の家が極貧なのは、父親が10年前の事故で頭に負った傷がもとでおかしくなってしまったからだ。それでも明るく健気なふたりは、町で開かれるスケート大会出場の夢を抱く。少年少女の努力、誠実、勇気、高潔、友情を描いた古き良き児童文学のひとつ。いくらなんでもそれは偶然に過ぎるだろうという展開も、許せてしまうほどに。分厚く結氷したオランダの運河を疾走する銀のスケートの音が聞こえて来そうだ。
[ 2008.08.17 / [ 銀のスケート / 本 ]
Co0 / Tr0 ][ 青猫島コスモス記 / 本 ]
初めて読んだ時の衝撃が忘れられない。詩的イメージの豊饒、気が遠くなるほど描き込まれた細密画、不思議な島のあちこちを徘徊する猫たち。ここが自分のもうひとつの「猫町」であると感じた。この「青猫島」原画をはじめ、ますむらひろしさんの初期作品原画に触れる機会があった。息を詰めて見とれた。「嬉しい」というよりむしろ「痛い」くらいの体験で、帰宅後ぐったりと寝込んだ。
[ 2008.06.09 / Co0 / Tr0 ]
[ トーベ・ヤンソンのチェシャ猫 / 本 ]

ムーミンシリーズのトーベ・ヤンソンによる挿画の「不思議の国のアリス」(メディアファクトリー刊)。夢うつつの世界に棲む小さな生きものを描くのは、確かに彼女の独擅場。普通っぽくてどこか寂しげなアリスもいいが、表紙でも主役級のチェシャ猫がいい。目玉ぐりぐりのテニエルのチェシャ猫、頭が悪そうなディズニーアニメのチェシャ猫(ピンクと紫の縞模様・・・論外)と較べて、気難しそうで哲学的。しかも、大きな口には鋭そうな歯も並んでいて凄みもある。ワンカットだけど、アリスの飼い猫ダイナの野性味のある後ろ姿もよかった。
[ 古い絵本 / 本 ]

妹が実家に置いてあった石井桃子訳の絵本を何冊か持ってきてくれた。あまりにボロボロなので驚く。ページは破れ、背綴も取れてばらばらになりかけている。考えてみればもう40年も前の本なのだ。2つ上の姉と4つ下の妹、3姉妹で読みついできた絵本たち。テレビゲームもパソコンも携帯電話もなかった時代だから、こんなに本と濃密な時間を過ごせたのだろうか。


